Ark Nova Project - Construction Site

 

山口情報芸術センター


1997 - 2003

山口県, 日本

文化施設


敷地面積: 14,536 sqm

建築面積: 7,326 sqm

延床面積: 14,808 sqm


第11回公共建築賞, 音響家が選ぶ優良ホール100選

公式ウェブサイト

山口市の市街地である湯田温泉と山口駅・市庁舎などの市の中心部を結ぶ場所に位置する図書館とスタジオの複合施設である。
要求されたものは図書館、数種のスタジオおよびそれらを補完、発展させる諸室であり、その空間はプロフェッショナルな使用にも耐えうる機能を持つこと、図書館およびスタジオその他で行われるそれぞれの活動を結びつけるネットワークを可能にすること、そして要求の変化およびネットワークにより新たに生み出された活動にフレキシブルに対応できることが求められた。
内部構成としては大屋根の下に大きなボリュームを必要とするスタジオや閲覧室などを中庭としても機能するガラスの箱により緩やかに分節しながら収め、大屋根に平行して付属する4.5mスパンの柱によって形成される空間に事務室等を配置している。主要空間を長手中央に連続させることによって生じた長大な空洞は、アーチやサスペンションを組み合わせたハイブリッド構造である一方向曲面屋根により覆い、曲面屋根の主要鉛直支持材としてフィーレンディールトラスを設け、それを同時に短手方向の耐震装置としても機能させることにより成立している。
各室を結ぶ空間として配置されているホワイエや廊下は展示やパフォーマンスの空間として変容可能であり、別目的での来館者にも偶然の出会いを提供する。床には情報ケーブルや電源の取り出せるアウトレットボックスが数多く設置され、大部分の天井を隙間の大きなルーバー天井とすることにより比較的自由に天井裏の配線を取り回したり液晶プロジェクター等を設置することができる。また4.5mの高さに設置されている2本のブリッジは空洞により南北に分断されている二階部分を連続させ、来館者は袋小路にはまることなく周回可能となり館内各所の展示物や多様な空間にたやすくアクセスできる。
図書館は今後の新しい技術による情報の電子化、利用者の要求にあわせたサービス形態の変化等に対応できるようホワイエなどと同様に床埋め込みのアウトレットボックスの設置と厳格な仕切りをなるべく廃してフレキシブルな空間構成を目指している。主要なエリアを段差のないワンフロアとすることにより車椅子での利用や一般利用者用に設置されているブックカートの利用が容易となっている。
スタジオは3種あり、その中でもっとも大きな空間であるスタジオAは自由に移動可能な段床パレット上に客席があり、それを奈落に収納することによってスタジオA全てのエリアでパフォーマンスが可能な舞台となるほか、様々な形式の舞台を作ることができる。スタジオBはボックスインボックスの構造を持つため中庭を挟んで隣接する図書館への音響的影響を与えずに大音量の公演および展示が可能であり、スタジオCは固定式の椅子が約100席設置された講演と映像作品の上映がメインに考えられたスペースである。スタジオA、Bは特に仕上げがシンプルであり補修が容易なためラフな使用にも問題なく対応できる。
外観においては、屋根が内部の空間に必要な容量の表出として波状の形態となっており、それは同時に山口市を取り囲む優雅な山並みと呼応している。下屋部分の数種の大きさとパターンのガラスを持つカーテンウォールはガラス越しに姿を見せる構造体とは違うリズムでランダムに組み合わされ、所々突き出ているPC版による箱と共に片側約171mの壁面が単調とならないよう構成されている。