Qatar National Convention Center

 

静岡県コンベンション・アーツセンター “グランシップ”


1993 - 1998

静岡県, 日本

文化施設


敷地面積: 36,009 sqm

建築面積: 13,647 sqm

延床面積: 60,630 sqm

公式ウェブサイト

「静岡県コンベンションアーツセンター」は通称「グランシップ」と呼ばれている。このグランシップは特化された3つのイベント空間とコンベンション施設を併せ持つ巨大複合施設である。敷地の東静岡地区は旧国鉄貨物ヤード跡地で,静岡市と清水市の中間に位置し,いずれ合併が成立し政令指定都市になった場合には,まさにその中心地区になる。ここでは周辺の既成市街地を含めた大規模な開発事業がスタートしている。98年10月には東海道新幹線を跨ぎ南北地区を結ぶ跨線橋と,橋上駅が開業した。3.6haの敷地のうち,その駅前広場に連続した西側には,芝生貼りの約135m×80mの多目的中央広場が設けられた。さらに,敷地南側には線路と平行にブールバールが計画地を貫くよう計画された。計画道路幅30mのうち,建物側歩道10mに加え建物外壁を20m後退させ生み出された30m幅のこのブールバールは,完成すると全長約1キロの歩行者優先の遊歩道になる。欅並木の間にはキオスクの設置も計画されている。
グランシップはこの地区の先行施設として位置づけられ,静岡県の文化,情報機能の中核施設であることに加え,今後の街づくりを方向づけるシンボル性をも求められている。
ヨーロッパでは,カテドラルが都市の中央広場に面して建ち,その都市を象徴するスケールと空間を持っている。大ホールとその前庭にあたる広場は,これに呼応するかのように計画された。カテドラルを彷彿とさせる,60mの天井高を持つ大ホールの内部空間には,様々な装置・機構が仕込まれ,最大5,000人規模のメガ・イベントも可能にしている。これは今までにない新しい建築形式といえ,大型のホールとしてだけでなく,様々なイベントや展示会等に使われるドームの役目や,スポーツ用の大空間であるアリーナの役目をも果たすことになる。内部平土間と広場とは,大扉を開放しての一体的な使い方も期待されている。
約800人収容の中ホールは,近代劇場のモデルと言われるバイロイトの祝祭劇場の劇場形式が改めて参照され設計された。主として演劇に使われるホールであるが,舞台機構の組み替えで,約1,200席の会議場にもなる。国際会議場や大小会議場,交流ホール等のコンベンション機能と併せ活用されていくだろう。
静岡芸術劇場はシェークスピアのグローブ座を参照した約400人収容の舞台芸術専用劇場である。先に日本平に建設された舞台芸術公園の野外劇場,楕円堂,稽古場,宿泊棟等の施設群と連動し,静岡から世界に向けて発信する舞台芸術創作活動の拠点となる。
内部空間にはそれぞれの機能に応じた独自の形態を持たせてあるが,全体は新幹線のスピードに対応するように3次元曲面の皮膜で包み込んでいる。スペイン産の暗緑色スレートで葺かれた外観は,停泊している大きな船のようにも見える。
他にも様々なコンベンション機能を併せ持つこの巨大複合文化施設は,地方文化が大切に優先されるだろう21世紀の,静岡文化創造の基地として船出していくことになる。